フランチシェク・ヴラーチル監督『マルケータ・ラザロヴァー』感想

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映画 おススメ
マルケータ
公式✕より引用

映像不可能と言われた同名小説を、チェコ・ヌーヴェルヴァーグの巨匠 フランチシェク・ヴラーチルが映画化。チェコ映画史上最高傑作と言われた作品が55年の時を経て日本初劇場公開

舞台は13世紀半ば、動乱のボヘミア王国。修道女となることを約束されていた少女マルケータは、領主とは名ばかりの父・ラザルと敵対する盗賊騎士コズリークの息子・ミコラーシュと恋に落ちる。彼女の心とは裏腹に、増大する王権と二つの部族間の衝突は激化していき……。キリスト教と異教、人間と野生、愛と暴力に翻弄される人々を描いた本作は、『アンドレイ・ルブリョフ』(’71年/アンドレイ・タルコフスキー監督)、『七人の侍』(‘54年/黒沢明監督)などと並び評され、1998年にはチェコの映画批評家とジャーナリストを対象にした世論調査で史上最高の映画に選出された。

公式サイトより引用

公式サイト→https://marketalazarovajp.com/

古くない

構想に7年の年月をかけ、衣装・小道具にこだわり、山奥で548日間撮影したという事実だけでも、この作品に対する思いが、全面に出ている。

1967年に公開したものが、2023年に観ても全く色あせていない要因の一つだと思う。

まるでシェイクスピア戯曲を彷彿とさせる人間本来が持っている「復讐」「憎悪」「愛」「運命」「宗教」「信念」などが剝き出しに表現されている。

人物相関図もパッと見ただけではわからないところも通じているだろう。だから1度見ただけでは全てを理解できずに、何度も見たくなるように出来ている。

166分という見た感

途中の休憩を挟まずに、圧倒的な壮大さで事件がドンドン起こる166分は観客に「見た感」を思わせる。

脳と心をフル回転させる飽きない内容は本当にマルケータの人生を追体験したような感覚になり、どっと疲れる。それが良い疲れでもあり、映画館で映画を見るという醍醐味に繋がっていく。

マルケータの罪深い美しさ

とにかく主人公・マルケータが圧倒的な美しさでスクリーンに登場する。

その無邪気さや、清純さ、儚さ。

彼女に共感しないと、この作品がただの戦争映画で終わってしまう。彼女の「恋」を前面に押し出すには、彼女ほどの美しさが少し出るだけで全然違うのだ。

何よりの長髪の髪と目が印象的になるようにしているところも良い。全てを語るには十分すぎるのだ。

まとめ

複雑且つ何層にもそれぞれの人物が丁寧に描かれているのがたまらなく良いし簡単には理解できないから、何度も見たくなる。

最近DVD、ブルーレイが販売開始したそうなので記念に1枚購入したいと思うが、やはりこのスケール感は映画館で集中して観るべき作品だと思う。

久しぶりにこんな濃厚な映画に出合ったので、大満足である。

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